2023年の新設住宅着工戸数は前年比4.6%減の82万戸でした。先日発表された2024年1月の着工戸数も前年同月比7.5%減と、マイナストレンドが続いています。
特に、2023年の注文住宅(持ち家)着工戸数は前年比11.4%減の22万4352戸と、2年連続で2ケタ台の減少となっています。2024年1月は前年同月比0.3%増とわずかに回復していますが、再びマイナストレンドに入る可能性が高い状況です。
しかし、住宅・不動産業界をとりまくこのような厳しい市況の中でも、成長している「5つのビジネストレンド」があります。
☆「セカンドハウス」の成長トレンド ⇒ 3Dプリンター住宅、コンテナハウス、トレーラーハウス
☆「非住宅」の成長トレンド ⇒ 倉庫建築、医療福祉建築、畜舎建築、事務所建築、ガレージ建築
☆「空き家」の成長トレンド ⇒ 空き家の再生販売、空き家活用転貸、空き家の解体・リノベーション
☆「インバウンド」の成長トレンド ⇒ 外国人向け不動産売買、民泊、貸別荘
☆「不動産投資」の成長トレンド ⇒ 中古アパート投資、高級ヴィラ投資
これらのビジネスは、注文住宅や分譲住宅に比べて事業規模はまだ小さいものの、120%以上の高成長を実現しています。中には、倍々ペースで伸び、3年で10億円を超えるほどの成長が見込めるビジネスもあります。
先述のとおり、新築市場はマイナストレンドが続いており、2030年には、新設住宅着工戸数が74万戸にまで落ち込むと予想されています。したがって、地域ナンバーワンの有力住宅会社でも、新築一辺倒の経営では、立ち行かなくなるでしょう。ですから、住宅・不動産の中でも成長トレンドに乗っている新規事業を複数立ち上げ、事業ポートフォリオ(事業の組み合わせ)の再構築を進めて、コングロマリット化(多角化)経営にシフトすることが不可欠なのです。
実は、持続的に2ケタ成長している住宅会社や不動産会社は、新築一辺倒の経営からコングロマリット経営へとシフトしています。私が知る限り、売上100億円を超える企業の9割以上が、このような経営をしています。
主力事業の業績が悪くなると、どうしても視野が狭くなり、経営の意識が、「どうやってマイナスを改善するか」にばかり行きがちです。しかし、冷静に考えれば、マーケットがマイナストレンドに入っている事業をなんとか伸ばそうとするより、プラストレンドの事業を伸ばすほうが、はるかに簡単であることがわかるはずです。
主力の新築事業にとらわれず、少し周囲に目をやって、成長しているビジネスをベンチマークすることから始めてはいかがでしょうか。そして、住宅・不動産関連の成長企業は、どんな事業ポートフォリオを構築し、どの事業で伸ばし、どの事業で利益を出しているのかを研究すると、「持続的に成長できる未来」が描けるようになります。
少しだけ周りを見渡せば、そこには成長事業やビジネスチャンスが必ず存在するのです。 |